隣の男にじっと見られている。しばらく経つけど、黙ったままじゃ何も分からない。
「穴があきそう。ストロール、何の用?」
「……輪」
「わ?」
手袋を外すように身振りで指示されて、しぶしぶ肌を出す。嫌だな。王都だって冬は寒いんだぞ。これでいいか、と伸ばした手の指にするりと見知らぬ輪を通された。
「わ!」
冷たい! 思わずその場でぴょんと飛び上がる。
「よかった、ぴったりだな!」
何なのかと問い詰めれば、付き合って一年半の記念だと言う。中途半端だ、と顔をしかめてみせる。今までだって一ヶ月、半年、一年と祝ってきたのだから、一年半の記念日もあって良いだろと詭弁で返された。
「いつも驚かされてるから、お返しだ」
ストロールは歯を見せて、満足げに笑う。自分でだって知らないのに、どうやって指のサイズなんて測ったんだ? ああ、聞くのはやめにしよう。
やり返すなら自分で考えたほうがいい。
目次
