「おい! なんだこの部屋」
「執務室だけど! 何の用?」
そんなことは分かりきっている。正規の手続きを踏んで来たんだぞ、こっちは。
「書類、言っておいただろ! どうしてこんな遠いんだよ!」
部屋は前に訪れたときの何十倍にも広くなっていて、王はその最果てに座していた。
「ああ、そうだった。持ってきて」
我が君はこの異変にまったく動じていない。目を凝らして見れば、なにやら熱心にペンを走らせている。王都の城壁よろしく、左右にそびえ立つ書類の山を避けながら歩いて歩いて歩いて、ようやく机にたどり着く。
「ようこそ。椅子ないから膝にでも座る?」
「俺を不敬罪で殺す気か? このふざけた部屋は何だ?」
「質問は一つずつにしてよ」
聞けば書類の置き場がなくなってしまったので部屋を広くしただけ、らしい。
お前がそんな事をしているせいでこっちの仕事が溜まるんだ、と睨みつけてやる。
「その紙さ、来年でいいよね」
「駄目だから今ここにいる。陛下、ご署名を!」
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