「泡」
ストロールがこちらの鼻を指さす。初めて手でする洗濯は泡がぶくぶくするのが楽しくて、石鹸を擦りすぎてしまったみたいだ。年明けから正式な軍人となるので、装備を一新する前に洗濯をしたかったらしい。
「取って」
「自分でやれ」
手伝ってあげてるのに。唇を尖らせて顔を突き出せば、恩着せがましい! と笑いながら腕で拭ってくれた。 ──泡に隠れて一年後の彼の姿を想像してみる。
「これ以上大きくなるなよ!」
すすぐ音に流されないように叫んだ。
「何だ、急に!?」
「キスが届かなくなったら困る」
とんだ暴君だな、なんてまともっぽい事を言いながらも耳がほんのり赤い。
「晴れてよかったね」
「ああ、よかった」
青くなった空に白い布が泳いでいる。目の前のすべてが平和な色をしていた。
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