女体化百合

イラスト

文庫一枚

寒い日の話

もっと伝えたいことはある。たとえば、好き、とか。
「寒い」
口からこぼれたのは正反対のことばだった。

雪降る街の宿は頑丈であったけれど、石の壁を通り抜けた冷たさが肌をぴりりと刺す。
「ウィル、おいで」
ぎゅうぎゅうと体を丸めて転がっていたら、隣のベッドから声がした。
くっつく口実ができたから正直に言うのは良いことだったのかもしれない。

必死に温めた布団を置き去りにして寝床を移り、彼女の腕枕におさまった。
ここがいちばん安心して眠れる。
「あのね。キス、したい」
「もう少し大きくなったらね」
こんなに近くにいるのに、心の奥まではなかなか踏み込ませてくれない。
いつだって困った顔で慰めてくれる。

夏に腕輪をくれて、指輪がよかったとその場で泣いてしまった日だってそうだった。
優しさがずっとざらざらして、ちくちくする。
「たくさん寝たら大きくなる?」
「……なるよ。おやすみ」

気高くて、美しいひと。
頑張って大きくなるから、早くわたしのものになってね。

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