わがままラブレター

「手紙? 一人のときに読んだほうが良いか?」
「いつでもいいよ」
 差出人である年下の恋人から手渡された封筒を裏に表に返して見る。飾り気こそないが質の良い紙で、丁寧に封蝋が捺されていた。
「別れたいとか、そういう話じゃないよな」
「気が変わった! 今すぐ開けろ。馬鹿」
 脛をがつんと蹴られてその場にうずくまる。なんだ、このキレは。王の座に着いて肉弾戦から遠のいているはずなのに。それよりも聞き捨てならない言葉に反論する。
「馬鹿……だと!?」
「早く読め」
 ナイフがない、と答えれば罵倒のことばも出てこない! といった呆れ顔でぱっと手紙を取り返してきた。痛む脛を抱えた俺を無視して、ばりばりと紙の縁をむしる。
「我が友、我が愛、我が臣下ストロールへ。お前は自分で思うより深く深く愛されています。末永く共にあるように」
 完全に蹴られ損となった俺はその場で横になり、王の高らかな宣誓を受け入れたのだった。

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